田中一村作品集 (大型本)
出版社: 日本放送出版協会
田中一村の生涯を描いた映画「アダン」がそろそろ公開されてきているようですね。
こちらでの公開はまだ先ですが、是非見に行こうと思っている映画です。
主演は榎木孝明ということで、私の中の一村のイメージとはちょっと違う気がするのですが、自らも画家である彼が役を切望したということで期待が持てます。
画家の人生を描いた映画はいろいろとありますが、やはり一番は「アンドレイ・ルブリョフ」でしょうか。
タルコフスキーの映画は、見ている時は退屈だったり、わけが分からなかったりで全然面白くないのですが、あとで気がついてみると、映画の中のあらゆる場面や言葉などを繰り返し心の中で反芻していたりして、いつのまにか自分の中のどこかに住み着いてしまう所が不思議です。

アンドレイ・ルブリョフ (DVD)
監督:アンドレイ・タルコフスキー
出演:アナトリー・ソロニーツィン
「真珠の耳飾りの少女」「裸のマハ」「フリーダ」「ポロック」「パスキア」「かまち」といったところは近年見て印象にのこっている映画です。
昔の作品では「炎の画家 ゴッホ」「ロートレック」などは、俳優の個性が強すぎる感がありました。
「写楽」「大いなる遺産」「迷宮のレンブラント」などは、安心して楽しく見られる感じの映画です。
「ミナ」という映画は、作品解説を見ると、「同じ日に生まれたミナとエテルの2人の少女が大人になるまでの友情を爽やかに描いた青春ラブストーリー」 となっていてジャンルはどうやらラブストーリーらしいのです。
もしかするとこれを、ひとりの女流画家の孤独に満ちた短い人生の記録、と捉えている人はあまりいないのかもしれません。
私的には、顔に傷がついてから彼女に対して周囲の態度が冷たくなったなどというエピソードよりは、画廊のオーナーに「売れるように、小さい絵を描け」と言われながら、自分の描きたい大きな絵を描いてしまう所や、食べていけなくなって仕方なく名画の模写なんかをして、なんとか生活していく様子などが胸にこたえてしまいました。

ミナ (ビデオ)
VHS (1995/08/25) 角川エンタテインメント
監督:マルティーヌ・デュゴウソン
出演: ロマーヌ・ボーランジェ
エルザ・ジルベルスタン
映画の終わり近くで、ミナがエテルの電話を聞いた後に絶望感に陥り、震えるほどの孤独感の発作に襲われるシーンは深く心の奥に焼きついて忘れられません。
私は真の「画家」とは、たとえば田中一村のように、常に「孤独」「清貧」という言葉と切り離せないもののように感じるのです。なぜなら、そこから深い精神性が生まれると考えるからです。この原点には学生時代に読んだモーパッサンの「月と6ペンス」という本が影響しているのですが、本の話はまた長くなるのであとにします。
「アンドレイ・ルブリョフ」にも、「腹がいっぱいで絵が描けるか」というセリフがありました。「腹が空きすぎてても描けません」と弟子の言葉が続くのですが・・・。
あとで思い返すと、ここは物理的な空腹感だけのことを言っているのではないと思われてくる言葉だったりするのです。そんな感じでどんどん自分の中で自問自答が続いていくのがタルコフスキーの仕掛けるトリックなのでしょうか。
見たいと思いつつ機会を逃しているものもたくさんあります。
「ピロスマニ」「カラヴァッジオ」「モディリアーニ~真実の愛~」
いずれにしろ、画家に限らず何かに心を傾けて一途に生きている人を描いた映画というのは、心に響いてくるものが多いですね。